チャンス

人生の転機は思わぬところに転がっているものだ。
たった一度しか会ってない人の誘いに乗って、
その人の人生が大きく変わっていくという話は良く耳にするものである。

かねてから社内で話題にはなっていた赤紙人事が発令されて約2週間が経つ。
私は今、ホーチミンへ赴任してくる際にはほとんど気にしていなかった衣食住の問題に
悩ませられている真っ最中である。給料をどのように引き出すか。

住居は一軒家かホテルか。恋しくなるであろう日本食の調達方法をどうするか、などなど。
不便であることを承知で越すのだから下準備は怠れない。

私の赴任先は、私とベトナムが初めて調和した町、ダナン。
6年前、ふとした思い付きから10ヶ月を過ごすことになった町でもある。
極度の閑暇から仕方なく日課となったベトナム語の自習時間が、私とベトナム語を強くつないだ。

さらに、それが功を奏して入社した会社では「どうしてホーチミンでダナンだったのか」と聞かれたが、
当時は「ダナンが好きだったから」としか言いようが無かった。まさかあの就職面接から4年が経った後に、
その一言を指摘されるとは思ってもみなかったのだが。

思えば私がベトナムと触れ合うことになったのも、ほとんど会ったことのなかったあるお医者様に
ボランティアの勧めを受けたのがきっかけだった。それを境に人生がいきなりガラッと変わったのだ。
こんなに簡単に人生が変わってしまっていいのかと思う反面、
これが人と人との出会いの醍醐味なのだろうと切に感じる今日この頃である

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